(48)2022年5月(1か月間)の自己株式取得枠設定状況を見てみよう。

コラム

直近2022年5月(1か月間)の東証上場企業の自己株式取得枠設定状況について調べてみた。当年度5月の1か月間だけで自己株式取得枠金額は、なんと2兆9,000億円に達した。

1)5月に新たに自己株式取得枠を設定(決議日ベース)したのは207社(5月に取得枠2回決議の企業があり、厳密には206社だが決議数でカウント、以下同じ)、その市場別内訳は次のようであった。
プライム市場(139社)、スタンダード市場(57社)、グロース市場(11社)

2)5月に新たに自己株式取得枠の設定金額は、2兆9,293億円(億円未満切り捨て、上限金額、以下同じ)、その市場別内訳は次のようであった。
プライム市場(2兆9,055億円)、スタンダード市場(209億円)、グロース市場(28億円)

3)5月に新たに決議された自己株式取得枠の設定方法は、206社が「定款授権による取締役会決議」よるもので、株主総会決議授権によるものは、グロース市場の1社であった。

定款授権206社の内訳は(A)「会社法第165条2項に基づくもの」172社、(B)「会社法第459条1項に基づくもの」34社であり、その市場別内訳は次のようであった
プライム市場(139社) ;(A)による113社、(B)による26社
スタンダード市場(57社) ; (A)による50社、(B)による 7社
グロース市場(10社) ;(A)による 9社、(B)による 1社

4)「自己株式取得の目的」は多い順に、次の通り(一会社が重複して目的を記載しているケース多い)。
①機動的資本政策の遂行(139社)

②株主へ利益還元(134社)
③資本効率の向上(122社)
上記以外で多かったのは、「譲渡制限付株式報酬制度の対象者へ付与するため」等の役員・従業員に対するインセンティブのためが、16社であった。